不動産を売却する際には、家やマンション、あるいは土地などを手放して退去する必要があると考えている方も多いのではないでしょうか。
一方で、ローンの返済が残っているなどの事情があり、住み続けながら売却を進め、賃貸などのカタチで同じ場所に留まりたい方も少なくありません。また、仮住まいではなく、すぐに新しい家に引っ越したい方もいるでしょう。
この記事では、住みながら不動産売却を行う方法に焦点を当て、利点や考慮すべき点を詳しく解説します。
住みながら進める不動産売却
不動産を住みながら売却するのは複雑に思えるかもしれません。しかし実は、住みながら不動産を売却している人は多く、決して珍しくはありません。
直接買取による不動産売却
住みながらの不動産売却は、直接買取という方法が一般的です。
通常、不動産売却では先に買い手を見つけ、その後で物件を売却・引渡しします。しかし方法では、物件を買い取った後に購入者がどのように利用するのかがわかりません。
たとえば購入した家やマンションを取り壊し、新しい建物を建てる可能性があります。もちろん、新しい所有者がその物件に住むこともあります。このような場合は、売却後に住み続けるのは難しいです。
しかし、直接買取なら売主(あなた)の事情を重視して売却できます。直接買取とは、不動産会社が買主となって物件を購入し、その後は不動産会社が売主となって買い手を探す方法です。
通常の不動産売却のように次の所有者が決まっていないので、売却後の活用方法についても不動産会社に相談すれば柔軟に対応してもらえます。売却後も住み続けたいといった要望も受け入れてもらえる可能性が高いです。
近年は、直接買取を行う会社が増えており、ホームページなどに記載がない場合でも一度相談してみると対応してもらえるかもしれません。
住みながら売却して新居に引っ越す
住みながら不動産売却を進め、売却が決まり次第、新居に移るという方法もあります。この方法では、不動産業者と協力して「売り先行」での手続きを行います。
売り先行とは、まず自宅を売ってその資金を新居の購入費用にあてる形式です。資金的に余裕がない方や、一時的な住まいへの出費を減らしたい方に適しています。
住みながら不動産売却をする利点
住みながらの不動産売却には、以下のような利点があります。
・まとまったお金を得られる
・引っ越し費用を得られる
・内見で暮らしをイメージしやすい
・売り先行なら希望価格で売却しやすい
まとまったお金を得られる
ローンを完済している物件であれば、不動産会社に直接買取してもらうことで、大きな資金が手に入ります。
売却金による経済的なゆとりが生まれると、住み続けたり、引っ越したり、その後の暮らしに関する選択肢が広がるでしょう。
引っ越し費用を得られる
売却によって得た資金を新居の費用にあてられるのも大きなメリットです。新居購入の資金調達に困っている場合でも、売却金で一時金を支払えます。
また通常、売却から引っ越しまでに時間差がある場合は、新居が完成するまでの間、アパートなどの仮住まいの費用(敷金・礼金・家賃など)がかかります。
一方で直接買取なら、退去のスケジュールも融通がききやすく、仮住まいなく新居に引っ越せる可能性が高いです。
直接買取は、まとまった売却金を得られるだけでなく、余分なコストを削減できるため、新生活に関する経済的な負担を抑えられます。
内見で暮らしをイメージしやすい
物件を売却する際は、購入希望者による内見が行われます。新築住宅や退去後の住宅を内見する場合、家具などがなく、暮らしをイメージしにくい側面があります。
一方で住みながらの売却では、現在住んでいる状態での物件を見てもらえるため、購入後の生活を想像しやすいです。そのため、ほかの売却方法に比べて、スムーズに売却できる可能性が高まります。
売り先行なら希望価格で売却しやすい
売り先行の場合、設定した希望価格での売却がしやすくなるというメリットがあります。
退去日などが決まっていて急いで売却する必要がある場合、早く買い手が見つけるように徐々に値段を下げていくのが一般的です。たしかに価格が下がればより多くの人に検討してもらえるのですが、どうしても希望価格から大きく減額してしまいます。
一方で売り先行なら、売却してから新居を購入するために余裕を持ったスケジュールを立てるため、急いで売却する必要がありません。むやみに希望価格から下げる必要はなく、理想的な価格で売却できる可能性が高いです。
高値での売却を目指す場合は、売り先行による住みながらの売却がおすすめです。
住みながら不動産売却を進める際の注意点
住みながら不動産売却を進める際には、以下の点に注意しましょう。
・内見の対応が必要
・買い手が見つからない可能性も
・直接買取では希望価格に届かないおそれがある
内見の対応が必要
住みながらの売却の場合は、内見への対応に苦労する可能性があります。購入希望者の都合に合わせたスケジュール調整が必要であり、場合によっては仕事を休まなくてはいけないかもしれません。
また、内見者から良いイメージを持ってもらうためには、部屋をキレイに整理整頓しておくことが大切です。長年の暮らしによる汚れが目立つ場合は、プロのハウスクリーニングを利用する必要があり、追加費用がかかってしまいます。
住みながらの売却では、いつ内見を希望されても対応できるように備えておかなくてはならない点に注意しましょう。
しかし内見のハードルを乗り越えれば、その後の手続きはそれほど難しくありません。
買い手が見つからない可能性も
住みながらの不動産売却であっても、すぐに適切な買い手が見つかるとは限りません。特に売り先行で市場に出す場合は、理想的な価格での成約を目指すため、買い手を見つけるまでに時間がかかるおそれがあります。
そのため、あらかじめゆとりのあるスケジュールを立て、忍耐強く待つ必要があります。
直接買取では希望価格に届かないおそれがある
直接買取は、不動産会社から直接購入してもらえるため、迅速に売却できるというメリットがあります。また交渉次第では、その後も賃貸契約などを結んで住み続けられるケースもあります。
一方、直接買取では売却額が市場価格よりも低く設定されることが多いです。一般的な相場から計算した希望価格には達しない可能性があるので、注意しましょう。
まとめ
不動産は住みながらでも売却できます。この記事では、直接買取や売り先行といった方法を紹介しました。
住みながらの売却は、内見の準備などの負担が増える側面あるため、必ずしも最適な方法だとは言えません。ただし、仮住まいなどへの費用を抑えたい方や、内見などに対応するためのスケジュール調整がしやすい方には向いています。
メリットとデメリットの両方を把握して、自分にとってベストな売却方法を見つけていきましょう。