不動産を売却することで得られる収益には、金額に応じた税金が課されます。多くの人が、不動産売却時の税金の種類や計算方法について疑問を持っていることでしょう。
売買契約時には、印紙税や登録免許税などの直接的な費用のほか、売却による利益にもとづく所得税や住民税も発生します。これらの税金は、売却した次の年に行う確定申告で計算されるため、売却時には正確な税金額が不明です。さらに、所有期間によって税率が変わるため、納税の時期についてわかりにくいと感じる方が多いです。
この記事では、不動産売却に伴う所得税と住民税の納税時期に焦点を当て、税金の仕組みや計算方法を詳しく解説します。賢く不動産を売却するために参考にしてみてください。
不動産売却における住民税と所得税の納付時期
住民税と所得税は不動産売却によって譲渡所得が生じた場合に課される税金です。しかし不動産売却の契約時にすぐに支払うわけではありません。
不動産の売却による住民税は、売却した次の年の確定申告にて計算されます。確定申告完了後、6月頃に税金の納付書が郵送され、指示に従って支払うのが一般的です。
そのため、売却で得た収益から税金の支払いにあてる必要がある場合、収益から必要な額を確保しておくことが重要です。すべての売却金を新居の購入などにあててしまうと、税金が納められなくなってしまうので注意しましょう。
不動産売却における住民税と所得税の注意点
住民税と所得税の税率は、不動産を所有していた期間によって変動します。所有期間が5年超の場合は約20%（所得税15％、住民税5％）ですが、5年以下だと約40%（所得税30％、住民税9％）と大きな差があります。
しかし、不動産を5年以上所有してから売却する場合、所有期間の計算は売却年の1月1日時点で行われることに注意が必要です。たとえば、7月に5年を迎えた不動産を9月に売却しても、1月1日時点で5年未満だった場合は、短期保有の税率40％が適用されます。
不動産を売却する際には、所有期間による税率の違いを把握し、売却のタイミングを慎重に検討しましょう。
不動産売却における税金の仕組み
税金は仕組みが複雑でわかりにくいと感じる方も多いでしょう。しかし基本的な仕組みさえ理解できれば、どのような税金が発生し、いつ支払うべきなのかが簡単に把握できるようになります。その第一歩として、まずは所得税と住民税がどのような税金なのか見ていきましょう。
住民税と所得税は、不動産売却で利益が出た場合にかかる税金です。不動産取得にかかった費用や売却活動で発生した経費を差し引いた後の利益に、その他の条件で定められた税率が適応され、算出されます。
不動産の取得費用が不明の場合は、税率が上昇するおそれがあります。不動産売却を検討している方は、今のうちに購入時の書類を準備しておきましょう。また売却後に新たな不動産を購入する場合は、将来的な売却の予定がなくても各種書類を保管しておきましょう。
住民税と所得税の計算方法と納税時期
住民税と所得税の概要を理解できたら、次はどのように計算されるのか、そしていつ納めるべきかを把握しておきましょう。税金の計算方法や納付時期を理解しておくと、売却金を適切に管理できるようになり、納税などで問題が生じるリスクを抑えられます。
不動産を売却して得られる譲渡所得には、分離課税が適用されます。分離課税とは、ほかの取得とは別に、所得の種類ごとに決められた税率で金額を計算する方法です。つまり、給与収入などに対する住民税と所得税に加えて、別途不動産売却への税金が計算されるのです。しかし、売却で得られた全額がすべて譲渡所得として計上されるわけではありません。
不動産売却に際して発生するお金（不動産会社への手数料や物件の価値向上のためのリフォーム費用）は、必要経費として差し引かれます。そのため譲渡所得は、売却金から経費を引いた金額です。
その他、特例措置などによって譲渡所得から特別控除額が差し引かれるケースもあります。
納税のタイミング
不動産売却に伴う住民税と所得税は、翌年の確定申告をもとに算出されたあと、6月頃に納付書が届きます。通常、分割払い（6月・8月・10月・翌年1月）か、一括払いを選択可能です。銀行の窓口での支払いに加え、近年はキャッシュレス決済などでも納付できるようになりました。
確定申告によって不動産売却による収入と経費を報告すれば、その後の税金計算に関しては追加の手続きは不要です。ただし、住民税と所得税の納付時期は異なるため、それぞれの納付書を注意深く確認し、支払い期限を正確に把握しておくことが重要です。
不動産売却を成功させるポイント
不動産売却の成功には、信頼性の高い不動産会社への相談が不可欠です。
不動産の売却には、多量かつ複雑な手続きが必要になり、仕事や家事などをしながら完璧にこなすのは難しいでしょう。書類の不備などによって、何度も役所に足を運ぶことになってしまうおそれもあります。そのため諸手続きについて理解している専門家に相談して、スムーズに進めていきましょう。
また、不動産売買に関するノウハウを持っている不動産会社なら、平均よりも早く、高く売却できる可能性があります。特に地域密着型の不動産会社は、その地域に対するニーズや相場を熟知しているため、高額での売却が期待できます。
まずは複数の会社から見積もりを取り、提案された売却方法や価格をもとに、比較検討してみましょう。見積もり時などの接客態度なども含め、最も信頼できる不動産会社に売却を委託することが大切です。
まとめ
不動産売却における住民税や所得税は、理解しにくい部分が多く、金額や支払い時期に疑問を抱いている方も多いでしょう。不動産を保有していた期間によって税率が異なる点なども、納税者を混乱させる原因の一つです。しかし、この記事で解説した仕組みや計算方法、納税時期を理解できていれば、問題なく納付できるでしょう。
不動産を売却する際には、信頼できる不動産会社に売却を依頼するのがおすすめです。不安や疑問はその都度質問しておくと、不安なく不動産売却を進められます。
まだ売却するかどうか迷っている方も、まずは不動産会社に相談して手続きの流れなどを把握しましょう。